未だに誤解多いiPhoneバッテリー寿命、フル充電500回のウソ

[公開日:2020/01/07]
筆者: 渋谷店

こんにちはアイフォン修理のダイワンテレコム渋谷店でございます。「iPhoneバッテリーの寿命はフル充電500回」等という、とんでもない誤解が意外に広く信じられてしまっていますが、Appleはそんな事は言っていません。「フル充電500回」と「フル充電サイクル500回」ではまるで意味が異なります。iPhoneバッテリーの経年劣化について正しい知識を身に付けましょう。

未だに誤解多いiPhoneバッテリー寿命、フル充電500回のウソ

iPhoneに採用されているリチウムイオン電池に関してはまだまだ誤解が多いようです。

 

曰く、「iPhoneは、バッテリーが空になってから充電すべし」

曰く、「iPhoneは、少しずつ何回も充電すると劣化が早い」

 

中でも、著名な雑誌などでも何気なく記述していたりするのが、「フル充電500回で寿命」です。

 

それに基づいて計算すると、毎日1回充電した場合、iPhoneバッテリーの耐用年数は2年弱になる…といった類のものです。

 

Appleではサポートページで、懇切丁寧にiPhoneのバッテリーの充電の仕組みや、耐用年数などについて解説していますが、ページの最初しか読まずに記事を書いたのかな?と思わせるような、誤解した認識で書かれていると感じる記事も少なくありません。

 

この話題について筆者は、当ダイワンテレコムのブログ内でも何回か述べていますが、なかなか正しい理解が浸透していない印象を持っている事から、今回は、未だに誤解の多いiPhoneバッテリーの寿命について、Appleの正式な見解の解説と、バッテリー寿命を縮めない充電方法等について解説したいと思います。

 

【目次】

1. フル充電500回がiPhoneバッテリーの寿命だなんてとんだ誤解

  ├「フル充電」ではなく、「フル充電サイクル」という考え方を理解しよう

  └iPhoneバッテリーの寿命は充電容量80%

2. バッテリーの寿命を縮める充電関連NG集

 ├残量が0になってから充電しないとメモリー効果で充電容量が目減りする

 ├充電回数を増やさないために、小量ずつ何回も充電せず一気に満充電にすべし

 ├―充電深度とは

 ├起床時に満充電にしておくため、就寝時に充電し朝までそのままにする

 ├―フル充電の状態

 ├動画視聴の最中にバッテリーが少なくなったので充電コードを繋げて視聴を続けた

 └満充電にしたiPhoneの電源をOFFにして保管した

3. バッテリーの寿命の判断の仕方と対処法

 ├ピークパフォーマンス性能とは

 └バッテリー寿命の判断と対処法

4. iPhoneバッテリーの寿命 まとめ

 

フル充電500回がiPhoneバッテリーの寿命だなんてとんだ誤解

こちらをご覧ください。

 

1. iPhoneのバッテリーは、フル充電を500回繰り返すと寿命がくる

2. iPhoneバッテリーは、残量が0になってから充電しないとメモリー効果で充電容量が目減りする

3. iPhoneバッテリーは、充電回数を増やさないために、小量ずつ何回も充電せず、一気に満充電にする

4. 起床時に満充電にしておくため、就寝時に充電し朝までそのままにする

5. 動画視聴の最中にバッテリーが少なくなったので、充電コードを繋げて視聴を続けた

6. しばらくiPhoneを使わないので満充電にして電源をOFFにして保管した

7. バッテリーの寿命が来たらしく、何回も充電しなければならないが、そのまま使い続けている

 

これらは、実は全て「誤り」で、言わば、iPhoneバッテリーの充電に関するNG集というところです。

 

(1)の、フル充電500回でバッテリー寿命となる…という事が、そもそもの大間違いなのですが、(2)~(6)までは、このような使い方、充電方法をしていると、充電回数による寿命をさらに縮めてしまう、悪い充電方法になります。

 

最後の(7)は、寿命が来てしまったバッテリーをそのまま使用していると、かなり危険という意味でのNGとなります。

「フル充電」ではなく、「フル充電サイクル」という考え方を理解しよう

 

Appleサポートには、確かに「充電500回」と言うような表記が見られますが、きちんと読めば、それは「フル充電500回」ではないことはスグに分かる事です。

 

おそらく、間違った理解をしている方の多くは、Appleの言う「フル充電サイクル」の「サイクル」を、単なる繰り返しを意味した言葉だと理解しているのではないかと思います。

 

しかし、このサイクルは独立した本来の意味で用いられているのではなく、「フル充電サイクル」という、固有の充電に関する考え方の名称ですので、「サイクル」を単に「500回のフル充電の繰り返し」と理解する事が、誤った理解になっていると思われます。

 

正しくは、「フル充電サイクル」とは、放電量の合計が100%になった回数です。

こちらの事例は、100%まで充電したiPhoneを利用する事によって、「A」→「B」までで75%のバッテリーを消費(放電)し、再度、放電した分の容量75%分を充電し、「C」→「D」で25%消費(放電)した様子を図解したものです。

 

「放電500回で寿命」なのであれば、この図の中で、「A」「C」と「E」の時点で、3回のフル充電が行われている事になりますが、「フル充電サイクル」という考え方はそうではありません。

 

バッテリーを消費(放電)した容量の合計が100%になった事を「フル充電サイクル」と言い、この図の中では、「B」時点の75%放電と、「D」時点での25%放電を合計し、「D」の時点で「フル充電サイクル1回」とカウントします。

 

例えば、朝外出してから帰宅までの間に、毎日40%までバッテリーを消費し、それをフル充電(60%充電)するパターンを繰り返したとします。

 

「フル充電500回」では、毎日フル充電を繰りかえした場合、単純に500日後に500回のフル充電を行った事になり、iPhoneバッテリーの寿命は、約「1年4カ月」いう結論が導かれてしまう訳です。

 

しかし、正しく「フル充電サイクル」を理解した場合、500回のフル充電サイクルと言う事は、500回×100%=50,000%の放電量が寿命と言う事になりますので、毎日60%の放電が行われた場合のバッテリー寿命は、50,000%÷60%=833.33日≒2年3ケ月ほどという事になります。

 

言葉の理解によって、iPhoneバッテリーの寿命について11カ月もの違いが出てしまう訳です。

iPhoneバッテリーの寿命は充電容量80%

Appleでは、「フル充電サイクル500回」でiPhoneバッテリーの寿命になるとは明記していません。

 

記述されているのは、「フル充電サイクル500回」で、当初のバッテリー容量の80%になるように設計していると言う事です。

 

Appleは、バッテリー容量80%を、バッテリーの経年劣化の目安と考えているようです。

 

経年劣化が進んだバッテリーは、充電容量が減少し、充電頻度が多くなるだけでなく、バッテリーの「インピーダンス」が増加しますが、このインピーダンスが増加したバッテリーでiPhoneでの電力供給を行った場合には電圧が低下します。

 

iPhoneのデバイスの内蔵ストレージ、電源回路、バッテリー本体等に、必要最低限の電圧を供給できなくなるとiPhoneの電源管理しゅてむは電源をシャットダウンする等してiPhoneを保護しようとしますが、

 

・ バッテリーの持ち時間が短い

・ 充電容量が減少しているため、充電回数が増え、何回も充電しなければならない

・ 高負荷な動作の際に、頻繁にシャットダウンするようになる

 

等々、これらをユーザーの視点から見ると非常に使い勝手が悪くなり、これを以って、バッテリーの寿命と考えているようです。

バッテリーの寿命を縮める充電関連NG集

このように、iPhoneに搭載されているリチウムイオン電池は、500回の100%放電=5万%を放電した際に「80%」容量になるように設計されている訳ですが、異なるAppleサポートのページには、以下のような記述があります。

 

『どのような使い方をしたとしても、バッテリーを長持ちさせるコツはあります。バッテリーの耐用年数には「化学的経年劣化」が関係してきます。これには単に時間の経過だけではなく、充電サイクルの回数や手入れの仕方などのさまざまな要因が含まれます。』

 

つまり、iPhoneバッテリーの寿命は、「フル充電サイクル」だけによって決定されるのではなく、日ごろの使い方や、充電方法などでバッテリーの耐用期間を延ばし、バッテリー寿命を延ばす事ができるという訳です。

 

冒頭に記したNG集がここへ繋がります。

 

・残量が0になってから充電しないとメモリー効果で充電容量が目減りする

 

これは非常に古いバッテリー充電の常識です。

 

リチウムイオン電池が携帯・スマホに広く利用されるようになる前には、「ニッケル水素電池」が主流の時代がありましたが、「ニッケル水素電池」は、メモリー効果が著しく、容量を残した状態で充電すると、残した分は必要ないものと判断してバッテリー容量が目減りしてしまう性格を持っており、「充電は容量が空になってから」が常識でした。

 

リチウムイオン電池は、メモリー効果による影響を受けにくいため、現在では、「充電は容量が空になってから」は「誤った充電方法」と言う事になっています。

充電回数を増やさないために、小量ずつ何回も充電せず一気に満充電にすべ

これは、先の「充電回数500回」の誤った基準から生まれたNGです。

 

正しくは「フル充電サイクル500回」、つまり、5万%分の放電が基準となりますので、充電回数自体はあまり気にする必要はなく、逆に、「フル充電するダメージ」(後述)や、「充電深度によるダメージ」を優先すべきとされています。

 

・充電深度とは

 

充電深度とは、1回に充電する量の事を言い、一度に大容量を一気に充電した場合を「充電深度が深い」と言い、少ない容量を充電した場合には「充電深度が浅い」と表現します。

 

リチウムイオンバッテリーに限らず、バッテリーは充電しなければ本来の役割を果たせない一方で、充電そのものがバッテリーのダメージになる性格を持っていますが、一度に大容量を充電する事は、よりダメージを深める事になります。

 

そのため、1回の充電量を少ない方がバッテリーに優しい充電と言う事になりますが、小容量の充電で済ませるためには、バッテリー残量が比較的多めで充電する必要がでてきます。

 

つまり、20%まで使って一気に80%を充電するよりも、60%まで使って40%充電を2回繰り返した方が、充電量は同じでも、バッテリーへのダメージは小容量充電の方が軽いと言う事です。

 

・起床時に満充電にしておくため、就寝時に充電し朝までそのままにする

 

これは、要するに「フル充電まで充電し終えたiPhoneを充電コードに繋ぎ放しにする」、つまり、「フル充電状態のまま充電を続ける」状態を表しています。

 

バッテリーは充電すること自体も劣化の一因であるばかりでなく、一度に大量の充電を行う事もダメージになる点では同様ですが、フル充電状態のまま充電を続ける事もやはりバッテリー劣化の一因とされています。

フル充電の状態

一度に大容量を一気に充電する事もバッテリー劣化の一因ですが、できればフル充電の状態にしない事もバッテリーに優しい充電です。

 

iPhoneは、バッテリー充電の際、容量の80%までは高速充電を行いますが、80%超については、「トリクル充電」と呼ばれる電流を弱めた優しい充電で、バッテリーを保護しつつ充電します。

 

これは80%までの充電で止めておけば、バッテリーへのダメージは減らせるという意味になりますが、日々の利用で、80%までしか充電しないというのは実用性に欠けるので、80%超はトリクル充電で優しく充電せざるを得ません。

 

でも、もし可能なのであれば、バッテリーは80%超には充電しない方がいいですし、まして、フル充電にはしない方が良いと言う事にもなるわけですので、就寝時、気象までずっとフル充電状態のまま…というのは避けた方が良さそうです。

 

・動画視聴の最中にバッテリーが少なくなったので充電コードを繋げて視聴を続けた

 

動画視聴に限らず、ゲームや音楽再生も同じですが、バッテリーを消費しながら充電する事も、バッテリーにはダメージとなり、劣化の要因とされている行為です。

 

充電中はできるだけ、iPhoneが動作しない、画面が点灯しない方が良いとも言われており、余談ながら付け加えると、夏場などで充電中に発熱しiPhoneが熱くなる場合には、ファンなどで冷却しながら充電すべきとされています。

満充電にしたiPhoneの電源をOFFにして保管した

iPhone保管時の充電量についてはAppleサポートで、保管時のバッテリー充電量は50%前後と明確に規定しています。

 

さらに長期間に渡って保管する場合には、6カ月おきに50%までの充電を行う事とも規定しています。

バッテリーの寿命の判断の仕方と対処法

iOS11.3で、バッテリーの劣化状態=最大充電容量を確認できる機能が搭載された事により、iPhoneバッテリーの劣化状態や寿命の把握が非常に楽になりました。

「設定」→「バッテリー」では、バッテリーの充電と放電の状態が「24時間以内」「過去10日間」ごとに確認する事ができます。

さらに「バッテリーの状態」へ進むと、現状の最大バッテリー容量や、ピークパフォーマンス性能の適用などを確認できます。

ピークパフォーマンス性能とは

前述したとおり、バッテリーの劣化が進みバッテリーの容量の減少や、インピーダンス増加による電流の低下等によって正常な動作を維持できなくなると、iPhoneのバッテリー管理機能は、iPhoneを保護するためにシャットダウンを行う場合があります。

さらに劣化が進んで、不安定動作が増えるに従ってシャットダウンの頻度も増加してゆきます。

そうなると、ユーザーの実用性や利便性が阻害されてしまう事から、管理機能は、iPhoneのCPU/GPU等のシステムコンポーネントの一部で、最大パフォーマンスを抑制する等してシャットダウンを防止しますが、これが「パフォーマンス管理」の状況になります。

バッテリー寿命の判断と対処法

バッテリーの最大容量が80%まで低下した場合には、Appleがフル充電サイクル500回の目安に到達したと考え、バッテリーもそろそろ寿命と考えても良さそうです。

もちろん、日々の使用上で問題なく利用できるのであれば、特に「寿命」や「バッテリー交換」等を考える必要はないのかもしれませんが、あまりに劣化が進んだバッテリーをそのまま使用していると、膨張・爆発などのリスクも生じてきますので、無理のない判断が必要です。

また、バッテリー容量が80%まで至らない間でも、シャットダウンが頻発し、「パフォーマンス管理」が適用された場合などでも「寿命」と考えた方が良いかもしれません。

バッテリーがいよいよ寿命だ…となった場合、対処法はおおよそ2通りです。

1つは、iPhone自体の買換えです。

フル充電サイクルの項で解説したように、50,000%を消費するには2年数か月経過しているはずですので、新モデルに買い換えても良いかもしれません。

もう一度iPhoneに買い換えても良いでしょうし、Androidスマホへ乗り換えても良いかもしれません。

また、もう1つの選択肢は、バッテリー交換です。

iPhoneのバッテリーを交換するには、Appleサポートにおいて純正バッテリーに交換するか、街の修理屋さんで汎用品に交換する方法があります。

Appleでの交換は、純正品ゆえの品質の安定や安心感がありますが、料金は「Apple Care+」に加入している場合は無料で交換可能ですが、実費での交換は若干割高です(iPhone Xの前後で7,400円/5,400円)。

また交換に要する期間も、配送修理の場合には1週間ほどかかってしまう上、本体は初期化されてしまいます(修理に出す前にデータのバックアップが必要)。

街の修理店の場合には、料金も割安ですし、作業時間も非常に短い上、本体データは消える事がないので、お手頃・お手軽ですが、交換されるバッテリーは純正品ではない点に注意が必要です。

Appleのサポートページには以下の記述があります。

『純正バッテリーは、iOS と連動して正常に機能するよう作られています。充電残量やバッテリーの状態を知らせる機能などが、その一例です。そのため、非純正のバッテリーを使って修理した場合、バッテリーの状態に関する情報は入手できなくなります。』

電源が入らない、iPhoneが動作しない等はありませんが、バッテリーの検証や情報入手ができなくなり、バッテリー容量の表示等もできなくなります。

日々の利用には支障がないので、割安で初期化が不要な街の修理店と言う選択肢も充分「あり」ですし、やはり安定・安心の純正バッテリー交換は王道の選択肢であると言えます。

iPhoneバッテリーの寿命 まとめ

冒頭でも述べたように、かなり著名な雑誌などでも「フル充電回数が500回で寿命」といった表記が、少なからず見受けられますが、それは全くの誤解である事を理解して欲しいと思い、この記事を製作しました。

「フル充電サイクル」という考え方は、特に難しいものではないので、だれでも分かるはずですが、フル充電サイクルが難しいというか、とっつきにくいのであれば、iPhoneバッテリーは、新品から5万%分の放電をした時に、最大容量80%になるように設計されていると覚えてください。

特にバッテリー劣化を促進するような使い方をしない限り、2~3年は、問題なく利用できると考えられます。

 

参考記事:【保存版】iPhoneのバッテリー寿命を延ばす充電方法まとめ

参考記事: iPhoneのバッテリーが劣化すると現れる症状と交換タイミング

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