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スマートフォンのバッテリーをユーザー側で簡単に交換可能にすることを義務付ける法案が、EU(ヨーロッパ連合)の議会で提出される見込みであることがわかりました。
EUでは今年1月にもスマホの充電用端子の統一を義務化する法案が議会で検討されていました。
画像はiPhone Xを開けたところ。画像左の大きいL字がバッテリー。
現在、iPhone(アイフォン)・Androidスマホともにバッテリーを交換するのが容易ではない構造になっています。
これには大きくわけて2つ理由が存在すると考えられ、1つは『省スペース化』のためです。
簡単に交換できるタイプのバッテリー構造をスマホに組み込みこもうとすると、強度や耐水性が損なわれるため、それらを補強するための空間や部品が必要になります。
そのような機構が存在するとスマホ自体が大型化したり総重量が増えてしまうために、バッテリーを取り外せないようにしています。
現在普及しているiPhoneやAndroidスマホの内部を開けてみると、バッテリーが接続されているコネクタ周りには精密機器である基板が敷き詰められています。
ここから基板を保護できるように仕切りを作り、誰でもバッテリーを交換できる構造を作ろうとするとかなりの大型化が必要になることが想像できます。
iPhone 8の内部。
もう1つの理由は『そもそもバッテリーの交換を行う機会があまりない』ことです。
iPhoneやAndroidなど、現在のスマートフォンに使用されているバッテリーにはリチウムイオン電池が使われています。
これは充電を500回分、おおよそ2年で寿命を迎え、劣化が顕著になってきます。
2年間問題なく使用できるものなら交換の必要性はあまりないと言えるため、バッテリーを簡単に交換できる構造を作る必要も薄いでしょう。
この度EUで提出されようとしている法案は、個人で簡単にスマホのバッテリーを交換できるようにすることを義務付けるものです。
もしこの法案が実際に提出され、EUの議会で可決された場合、後々バッテリー交換式ではないスマートフォンはEU加盟国で販売禁止になってしまいます。
現在普及しているスマホはそのほとんどがバッテリー交換式のものではないため、法案可決後にEU圏内で発売されるスマホは一般的に想像するスマホよりも厚さ・大きさともに見慣れない形になりそうですね。
またEUでは以前よりスマートフォンの充電用端子を世界共通規格に統一することを奨励していましたが、これに対しスマートフォン開発を行う各メーカーが消極的であったため、今年1月には充電用端子を世界共通規格に統一することを各メーカーに義務付ける方針がEU議会で検討されていました。
今回の『バッテリー交換式法案』、『充電用端子の統一法案』ともに、「電子ゴミを減らしたい」という考えから法案が作成されていると考えられます。
しかし、充電用端子に独自規格のLightningポートを採用するiPhone・iPadの開発販売を行うAppleは『充電用端子の統一法案』に対し反対意見を提出していました。
スマートフォンのコンパクトさ・軽重量、というのは製品のセールスポイントになる重要なファクターです。
特にAppleはiPhoneの薄型化・その他部品との兼ね合いのためにイヤホン端子をオミットするなど、思い切った開発を行ってきました。
様々な事情を隅に置き、イノベーションを阻害する今回の法案の実現はなかなか難しそうです。
Photo:iPhoneMania
source:iPhoneMania
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