iPhoneの有機EL画面・液晶画面の違いは?選び方と特徴を解説!

[更新日:2021/10/26]
[公開日:2020/02/11]
筆者: 渋谷店

iPhone、ひいてはスマートフォンに使われている画面部品が2種類にわけられるのはご存じでしょうか?

『有機ELディスプレイ』
『液晶ディスプレイ』
これら2つの画面部品はまったく異なる特徴を持っているため、iPhoneの中でもハイエンドモデルとスタンダードモデルなどで採用されるディスプレイがわかれています。
そのため、新しいiPhoneを購入する際や、iPhoneの画面を修理する際には『有機EL』と『液晶』の違いを知っておくことで、より自分にあったiPhoneを選ぶことができます。

今回は、iPhoneの有機ELディスプレイ(OLED)と、液晶ディスプレイ(LCD)の違いや、メリット・デメリット、お勧めユーザー等を解説します。

 

iPhoneの有機ELディスプレイ・液晶ディスプレイの違いと特徴

画像出展:

有機ELディスプレイについては、「かなり表現力が違うのでお勧めだ」とする意見と、逆に「別に大差ないので価格で決めればいい」という意見も少なくないので、これからiPhoneを買おうとする場合やiPhoneの画面を修理する場合には、悩むポイントの1つではないかと思います。

そこで、まずはiPhoneに採用されている「有機EL」と「液晶」の構造上の違いや、それによって生じるメリット・デメリットなどを解説します。

有機ELは黒が綺麗で高コントラストなiPhone画面

有機ELディスプレイは、の電気を通すと自ら発光する素子を光らせて画像・映像を表現しますが、その特徴は、何と言っても「黒色」の綺麗さなんです。

「な~んだ、黒い色が綺麗なだけなら大して変わらないね」

と思うかもしれませんが、黒色が綺麗な事が他の色も鮮やかに見える効果を生んで、高コントラストなメリハリの効いた画面になりやすいという特徴を持っています。

この特徴は、有機ELの色の表現の方法によって生み出されます。

従来の液晶ディスプレイは、バックライトといって、背後から光をあてる事で色を表現しているため、例え、黒色であっても色を混ぜて黒を作り出しているので、言ってみれば「明るい黒」になりますが、有機ELの黒色は、素子の光を消して表現するため「漆黒」と言える真っ黒な黒として表現されます。

例えば、iPhoneで撮影した写真をInstagramやTwitterにアップする際に加工する場合、「コントラスト」を強くする事で、クッキリはっきりした写真になるのと同じで、有機ELはコントラストの効いた画面となりやすいという訳です。

つまり、明るい色と漆黒の黒色の組合せで表現される有機ELディスプレイの画面は、コントラストが効いていて非常に綺麗に映る事が大きな特徴で、それが、有機ELの特徴でもあり、良さでもあります。

液晶は安価でコストパフォーマンスに優れている

それに引き換え、歴代iPhoneに採用されてきた液晶ディスプレイ(LCD)は、大量生産によるコストダウン等によって非常に安価なことから、iPhone本体の価格を抑える事に貢献しています。

また、長年の研究の結果、高コントラスト化も進んでよくできたiPhoneの液晶ディスプレイは、有機ELに匹敵するクッキリ画面を実現しています。

どうしても、黒色であってもバックライトを点灯して色を作る必要があるため、黒色自体を漆黒にする事はできませんが、様々な新技術の採用によって、くっきりとした黒色と他の色の組合せで高品質な画像を映す事に成功しています。

このように安価な特徴をもった液晶ディスプレイは、iPhoneの中でもiPhone XRやiPhone 11といったスタンダードモデルに採用されており、ProやPro Maxシリーズといった有機ELが採用されているハイエンドモデルよりもお手頃な価格でiPhoneを購入することができます。


iPhoneの場合のOLEDとLCDのコントラスト比

画像出展:

有機ELパネル(OLED) コントラスト比 液晶パネル(LCD) コントラスト比
iPhone 11 Pro
iPhone 11 Pro MAX
200万:1 iPhone 11 1400:1
iPhone XS
iPhone XS MAX
100万:1 iPhone XR 1400:1
iPhone X 100万:1 iPhone 8
iPhone 8 Plus
1400:1
- - iPhone 7
iPhone 7 Plus以前
1400:1

ちなみに「コントラスト比」とは、簡単に言うと、画面の中の最も明るい部分と、最も暗い部分の明るさの比率で、堆肥の差が大きければ大きいほど、メリハリのある、はっきりクッキリした画面表示になります。

高コントラストの画像・映像は、「鮮やか」「鮮明」という言葉で表される事が多いですが、一番分かりやすいのは夜空の星です。真っ暗(真っ黒)の空に瞬く白やシルバー・ゴールド等の星は、空の色が黒ければ黒いほど鮮明に見えますが、空が明るいと小さな星は同化してしまって見えづらくなります。

田舎で見る星は小さな星までたくさんの星が鮮明に見えますが、空が明るい都会では、見える星の数も少なく、見える星もぼんやりして見えることが多くなります。

iPhoneの画面も同じで、黒色が明るさのない漆黒であれば、他の色が目立って鮮明に見えますが、その画面を高コントラスト、コントラストが効いた画面と表現します。

「1400:1」と「200万:1」の違いですから、決定的に違うと言えるのですが、液晶の映像を綺麗にする技術も進んでおり、昔のiPhoneに搭載されている液晶に比べればiPhone XRやiPhone 11などの最近のiPhoneは高コントラストとなっており、低コストながら高品質なiPhoneとして人気を博しています。

数値だけを見てしまうと、ディスプレイは有機ELでないとダメ…と感じてしまう程の、数値の大きな差がありますが、実際に目で見るディスプレイの綺麗さや鮮明さは、数字で感じるほどの違いはありません。

実際に見ると、差を感じるか、全く感じないか

今回の記事を書くにあたって、知り合いに、有機ELディスプレイと液晶ディスプレイの違いをどの程度感じるか、次のiPhoneはどちらを選ぶか…を何人かに聞いてみました。

というのも、実は、筆者は自分の目でその違いをハッキリ認識してしまったので、次は、iPhone 13シリーズなどの有機ELディスプレイ採用モデルと決めています。

筆者が感じたOLEDとLCDの差とは

筆者はある日、人との待ち合わせの時間調整(≒70分間)で、スマホで映画を観る事にしました。

その時に持っていたスマホは、Androidスマホと、メインで使っているiPhone XSでした。

メインのiPhoneは、電話やSNS、メールが着信するので映画を再生していない方が良いですし、バッテリーも温存したかったので、サブ機のAndroidでサブスクの映画配信でバラエティ番組を観て待つ事にしました。

このAndroidは、iPhoneとの違いや対比を確認するために携行している端末で、音楽再生や動画視聴などを見るサブ機として機能している端末です。

Androidの充電忘れによって、知人との合流まで15分程のところでAndroidのバッテリー残量が寂しくなり、残り15分をiPhoneで見ようとサブスクの映画配信サービスのアプリを立ち上げ、続きからの再生をしたところ、画質がかなり違ったのでした。

出演していた女優さんの肌の色や質感が全然違い、Androidの方は、女優さんが肌荒れしているの?と思う程の画質の差を目の当たりにしました。

それまで、ゲームや、Instagram等の写真を見ていても、そこまで差を感じた事はなかったのですが、サブスク動画での画質の違いは筆者にかなり大きなインパクトを与えたのでした。


有機ELを選ぶか、液晶を選ぶかを聞いた知人の回答は、多少の価格差があっても有機ELを選ぶと答えたのは6人中1人、残りの5人は液晶で問題なし、あるいは価格が異なるなら安い液晶を選ぶとの事でした。

その5人のうち、有機ELと液晶の画質の差を感じるかを聞いたところ、感じる人が1人で、4人は大差ない、感じないと答えました。

たった6人に聞いただけなので、公平な一般的な意見だとは言い難いですが、筆者が決定的に感じた映像の画質の差を、気にならない、大差ない、感じないと回答した人が4人いた事はショックではありましたが、考えてみると、スマホの使い方は人それぞれですので、当然、スマホの何を重視するかも違ってきます。

ニュースサイトのテキストを見る事が多い人に画質の差を問うても感じないと答えるかもしれませんし、映画や動画をよく見る人は違いは明らかだと答えるかもしれません。

その辺りは、ユーザー個々の使い方、感じ方なのかもしれません。

「黒色がきれい」以外の有機ELディスプレイの特徴

画像出展:apple.com

有機ELディスプレイが消灯で「黒色」を表現する事と、それによって生じる「高コントラスト」で「鮮明な画面」を開設するためにこんなにスペースを使ってしまいましたが、有機ELディスプレイの特徴は、「黒が美しい」「画面が鮮明」だけではありません。

徐々に採用が増えている背景には以下のような特徴がiPhone、ひいてはスマートフォン向きのディスプレイと考えられているためです。

ディスプレイを薄く作る事ができる

「黒色がきれい」でも言及していますが、背後からバックライトを当てる方式の液晶よりも、素子自体が発光する有機ELの方が本体の厚みを薄くつくることが可能です。

しかも、余計な構造物がないことから、重量も軽量化する事が可能なため、スマホの薄型軽量化に有効な方式と言えます。

特にiPhoneではiPhone 7からイヤホンジャックを非搭載にするなどiPhone本体を薄型にするためのデザイン変更が進められており、有機ELの特徴はiPhoneのデザインにマッチしています。

ベゼルを薄くできる

こちらは、iPhone 11 Pro(左:有機ELを採用)と、iPhone 11(右:液晶を採用)ですが、画面の周囲のベゼル(枠)を見比べてください。

明らかにiPhone 11 Proの方のベゼルの方が細いのがよく分かります。

有機ELは素子が発光するため、余計な構造が不要でギリギリまで枠の大きさを狭める事ができるためですが、本体外形とディスプレイの大きさの違いが小さいというデザイン上の見た目以外に、あまり大きなメリットはありません。

ディスプレイ画面の応答速度が速い

液晶ディスプレイは、その構造上、どうしても反応速度に遅れが出やすいのですが、素子自体が発光する有機ELディスプレイは、余計な動作が不要なため応答速度が速いのが特徴です。

ハッキリクッキリの高コントラストな映像と、反応速度の速さがあいまって、すっきりとした残像の少ない画面になります。

省電力である

先ほど、有機ELの「黒色」は、素子を消灯する事で表現していると書きましたが、その事は「省エネ」に通じます。

液晶のように、全ての色を点灯させて表現する場合には、常にバックライトが光り続けなければなりませんが、有機ELの場合には、黒以外の色にだけ通電して発光させればよいため、素子を光らせる電力を節約する事ができます。

例えば、真っ黒な画面の端に、小さな文字で時刻だけを表示させる場合、液晶は、全体のほとんどのエリアを覆う黒い部分でもバックライトが発光していますが、有機ELの場合は、時刻表示の数字部分の素子のみ発光している訳で、どちらが多くバッテリーを消費するかは一目瞭然です。

こちらは、筆者のiPhone XSのホーム画面の事例です。

以前は、ホーム画面の背景に色付きの画像を使用していましたが、今は、真っ黒な画像を背景に使っています。

画面はいずれも「ダークモード」での表示ですが、背景に色がついている方は背景の色にも素子を発光させている事になりますが、真っ黒な画像を背景にした場合には、アプリのアイコンには素子を発光させますが、背景部分の素子は消灯している事になり、その分、節電になりバッテリーが幾分かは長持ちする事になります。

また、iPhone画面の明るさは変えていませんが、黒背景の方は、アイコン1つ1つがハッキリクッキリと見えます。背景色との組み合わせで、特に、背景が薄い色で明暗差が小さいアイコンは、なんとなくぼやけて見えまするという視覚効果もあります。

画面を曲げる事ができる

有機ELディスプレイは曲げた状態で使用する事ができます。

このことは、今後のスマホやテレビなどの進化に大きな影響を与えそうな有機ELの大きな特徴です。

有機ELディスプレイは、発行する素子を板状に並べた状態で、液晶のように背後にバックライトを背負わないため、多少曲げても利用する事が可能です。

ディスプレイが曲げられると言う事は、従来、ディスプレイの形状は板状が当たり前でしたが、腕に巻いたり、折りたたむ等、スマホの形状を自由に設計できる事になり、ひいては、薄く平たい板状のスマホが、全く別の形状で登場してくる可能性が大きくなったと言う事でもあります(もしかすると、それはもはやスマートフォンとは言わないかもしれませんが)。

有機ELディスプレイのデメリット

液晶に比べて非常に優位に立つ有機ELディスプレイですが、弱点がない訳ではありません。

製造コストが割高であること

液晶に比べると、まだまだ有機ELディスプレイは割高です。

逆をかえせば、液晶ディスプレイの最大のメリットは、安価な製造コストによるスマホ本体価格の抑制効果です。

しかし今後さらに研究が進み、採用モデルが増加する事によるスケールメリットによって、次第に有機ELの価格も下降すると予想されますので、近い将来にはデメリットではなくなっている可能性もあります。

寿命が短いこと・焼きつきやすいこと

液晶に比べると、ディスプレイとしての寿命が短い事や、画面が「焼き付き」を起こしやすい事が問題になるケースがあります。

有機ELは素子自体が発光するため、素子の集合体であるディスプレイは常に大きな負荷がかかっている事から、液晶に比べ寿命が短く、3~4年と言われています。

5年以上に渡って使用される事が多いテレビでは問題になりやすいですが、2~3年で買い換えるスマートフォンではあまり大きな問題になりにくいという側面もあります。

また。焼き付きに関しては、常に同じ画面を表示し続けないよう、ユーザーがほんの少し注意する事で実用範囲内の対応策を講ずることができます。

いずれの場合も、スマートフォンとしての性能や機能に重大な影響を与える事はないとみて問題ないはずです。

有機EL・液晶の違いと特徴 まとめ

現時点では、製造コストの問題で、優実ELはミドルクラスから上のスマートフォンに採用される事が多く、エントリーモデルなど、安価なモデルには未だ液晶パネルが採用される事がおおくなっていますが、液晶自体の技術の進歩により、その弱点やデメリットの克服が進んでおり、「液晶ディスプレイでは使い物にならない」等と言う事は全くありません。

事実、液晶を画面に採用しているiPhone XRやiPhone 11、iPhone SE2などはその安価さからミドルレンジiPhoneとして広く普及しています。

iPhone以外のスマートフォンでも、液晶でも有機ELかと見まごうばかりの綺麗な画面を実現しているスマホも少なくありませんので、メールやSNSや、WEB閲覧等に使用する場合には、画面の綺麗さと価格のバランスで、液晶パネルを選んでも問題ないはずです。

一方、動画の視聴等では、やはり有機ELの黒色を消灯する事による画面の良さが如実に現れますし、また、省エネ・バッテリー長持ちの観点からも、有機ELに軍配が上がりそうです。

動画を見るか見ないか、バッテリー容量の不足を感じているかどうか…それ以外で、有機ELディスプレイを選ぶ重大な理由はないように思います。

この記事を書いた店舗情報

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