iPhoneバッテリー、非正規店で非純正品に交換するとどうなる?

[公開日:2020/01/09]
筆者: 新宿本店

『iPhoneの待ち受け時間が短くなって、朝出かけてから夜帰宅するまでバッテリーが持たない。』

『日に何度もiPhoneを充電しなければならず、手間と時間が無駄だと感じる。』

そんな、iPhoneのバッテリーの劣化を感じた事はありませんか?

Appleによれば、iPhoneのバッテリーは、500回の「フル充電サイクル」を経た時点で、バッテリーの最大容量が80%になるように設計されていると言う事ですので、日々の使い方や、充電方法等でも左右されますが、おおよそ2年を超えた辺りからバッテリーの劣化を感じてもおかしくないようです。

ちなみに、500回は、単純な充電回数や、フル充電を何回したか…ではなく、「フル充電サイクル」を500回経過した場合の話しですので誤解なきよう。 もし「フル充電サイクル」が分からない場合には、過去記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

参考記事:未だに誤解多いiPhoneバッテリー寿命、フル充電500回のウソ

では、そうしたiPhoneバッテリーの劣化を感じた場合、どうしたら良いのでしょう?

残念ながら、一旦劣化したバッテリーの性能を戻す事はできませんので、ある程度の時点で「iPhone自体を買い換える」、あるいは「バッテリーの交換修理を行う」のいずれかの選択肢を選ぶ事になります。

iPhoneの買換えは、バッテリーが劣化したiPhoneをすでに2年以上使っているなら、買換えサイクルとして決して早い訳ではありませんので、充分、検討の余地があると思いますが、「いやいや、3年~4年は使いたい」という場合には、劣化バッテリーをそのまま使用していると、充電の手間や持ち時間の短さといった使い勝手の問題だけでなく、バッテリーの膨張・爆発などのリスクも次第に高まってきますので、早めの交換修理をお勧めします。

そんなバッテリーの劣化や寿命によるバッテリー交換をする際の選択肢として、AppleサポートやAASP(アップル正規サービスプロバイダ)以外にも、最近よく耳にする街のiPhone修理屋さん等の非正規店舗での交換も可能です。

今回は、街の修理屋さん等、AASP(アップル正規サービスプロバイダ)以外の非正規店でのバッテリー交換を行うと、iPhoneがどうなるのか…について解説致します。

正規店舗・非正規店舗でのバッテリー交換の違い

  Apple純正 修理店
iPhoneモデル Apple Care+あり Apple Care+なし -
iPhone 8までのモデル 無料 5,400円+税 4,800円+税
iPhone X以降のモデル 無料 7,400円+税 5,800円+税

こちらは、Appleサポート、及びAASP(アップル正規サービスプロバイダ)と街の修理店でバッテリー交換を行った場合の料金です。

Apple 純正でのバッテリー交換修理は、2019年から値下げされたため、以前よりも低負担でバッテリーを交換できるようになりましたが、それでもコスト面で比べれば街の修理店の方がまだ割安で、特にiPhone X以降の全画面モデルのバッテリー交換では、1,600円のコスト差があります。

  Apple 修理店
依頼 店頭持込・配送 店頭持込・配送
予約 要予約 予約不要
データバックアップ 必須 任意
修理時の端末初期化 初期化される 初期化されない
アクティベーションロック 解除必須 解除不要
修理時簡 3時間(店頭) 30分(店頭)

また、修理コスト以外では、このような違いがあります。

Appleでの交換修理の場合、修理時に必ず端末が初期化されますので、事前のデータバックアップが必ず必要です(バックアップしない場合、iPhone内のデータは全て消去されてしまいます)が、修理店であれば、データを消さずに交換してくれるので面倒なバックアップなしでも交換する事ができます。

アクティベーションロック(「iPhoneを探す」機能)をOFFにする必要もない上、作業時間もかなり短いので、お手軽に手早くバッテリー交換を済ませる事が可能です。

2018年発売iPhone XS以降のバッテリー交換は要注意

2018円に発売となったiPhone XS/XS MAX/XR、2019年に発売となったiPhone 11/11 Pro/11 Pro MAXのバッテリーをAppleサポート及びAASP以外で交換した場合、iOS12以降ではiPhoneに以下の表示が出るようになりました。

『バッテリーに関する重要なメッセージ』として、『このiPhoneで正規のApple製バッテリーが使用されている事をかくにんできません。このバッテリーではバッテリーの状態の情報を利用できません。』

とのメッセージが表示され、その下の「最大容量」の表示が「-」になり、バッテリーの劣化状態を表す「(バッテリーの)最大容量」を確認する事ができません。

面白いのは、この表示は、正規店以外の店舗で「Apple純正バッテリー」に交換しても表示される事です。

上記のメッセージの表示では、「Apple製バッテリー(=純正バッテリー)が使用されていない」としていますが、Appleにとって問題なのは、バッテリーが純正か非純正かではなく、交換作業を行った店舗が正規店か非正規店かある事がわかります。

現に、「新製品が出たらすぐに分解」で有名な修理業者「iFixit」が行ったテストによれば、Apple純正バッテリーに交換し他にも関わらず、AppleのAASPではない「iFixit」が交換作業を行った場合には、上記の表示が出たとのことです。

「iFixit」によれば、このメッセージの表示は、バッテリーが純正品が否かに依らず、AASPだけに提供されている「内部診断ソフトウエア」で非表示化しているのだろう…との事で、そのソフトウエアの提供を受けられない非正規業者での交換の場合は、対象モデルは全てメッセージが表示されるとの事です。

メッセージが表示されると何がどう変わるのか~ユーザーのデメリットは?

「Apple製バッテリーが使用されていない」というメッセージが表示されると、ユーザーにとってどんな不利益が生じるのでしょうか。

まず1つ目は、バッテリーの情報が表示されなくなるため、バッテリーの利用状況や劣化の状態を把握できなくなります。

この変化は、日々の利用では特に差し障りは大きくなく、電話もできますし、ネットも可能、SNSも動画視聴にも特に影響はないものと考えられますので、iPhoneがまだ購入したてでバッテリーの劣化が進んでいない状態であれば気に似なくて良い…、そのように記しているWEBもありますが、しかし、よく考えてみてください。

そもそも、バッテリーを非純正品に交換したためにこの表示が出る訳ですから、そのiPhoneは、購入したばかりのバッテリーの劣化のない状態ではない事になります。

オリジナルのバッテリーを非純正に交換して以降は、バッテリーがどのように使用され、どの程度劣化が進んでいるのか、そもそも交換したバッテリー自体が新品で最大容量100%のモノだったかどうかも確認する術がなくなるわけですので、そう考えると、やはり一抹の不安を抱えながら使用してゆくことになると言えるでしょう。

ただし、実際の修理店で交換されるバッテリーは概してきちんとした性能の物が使用されています。

特に名の通った有名店であれば、信用の問題があるので、不良品や中古品など問題のあるバッテリーに交換されると言う事は考えにくいので、一般的に考えて、バッテリーの情報が無くても少なくとも交換から2年程度は普通に利用できるはずです。

なお、先ほどから論じている、非純正バッテリー交換後の「表示」や、バッテリー情報が表示されなくなる症状は、iOS12以降の、iPhone X以降の比較的新しいモデルが対象で、iPhone 8以前のホームボタン装備の旧型iPhoneではそうした変化は見られないようです。

非純正バッテリー交換後の機種でも正規修理を実施へ

Appleサポートにはこのような記述があります。

実はAppleでは、2017年3月に「Apple製品1年限定保証」の内容について、他社製の部品であっても有償修理の対象とする変更を実施していますが、この時にはバッテリーは対象外でした。

しかし、2019年3月以降、「他社製修理部品使用による有償修理サポート」にバッテリーも含める事としました。

これにより、従来は他社製部品使用による修理は受け付けて貰えなかったものが、街の修理店で好感したバッテリーを搭載したiPhoneでも、Appleサポートや、AASP(アップル正規サービスプロバイダ)でApple製バッテリーに交換修理を受け付けて貰えるようになっています。

この点は、従来からの大きな進歩と言え、ユーザーにとっては非常に安心感が得られる改善だと感じます。

バッテリー交換は正規店ですべきか、非正規店でも大丈夫か

Apple正規店でのバッテリー交換は、やはり純正ならではの安心感が一番の特徴です。

料金差はあまり大きくはありませんが、事前のデータバックアップや初期化、作業時間の長さ等はデメリットと言えます。

それに対して、修理店舗の良さは、バックアップ不要でデータも消えない上、作業時間も30分程度を抜群の早さが魅力です。

しかし反面、「Apple製バッテリーの使用が確認できない」とのメッセージが表示される場合があり、その場合には、バッテリーの使用状況や劣化の状態などの情報を得る事ができなくなる場合があります(iOS12以降iPhone X以降)。

バッテリーの情報が把握できない事はユーザーにと手のデメリットですが、それ以外の部分では普段通りに使用する事ができる事を考えると、交換したばかりのバッテリーが、約2年程度は支障なく利用できる前提であるならば、日々のiPhone使用上は特に問題ないとも言えます。

ただ、それには、信頼のおける修理店を選ぶ必要があり、交換に使われるバッテリーが不良品・粗悪品・中古品でない事が絶対条件です。

筆者であれば、iPhone 8までのホームボタンのあるiPhoneであれば修理店を選ぶのではないかと思いますし、iPhone X以降のモデルの場合でも、問題があれば純正品に戻す事が可能(Appleで有償修理対象)ですので、1度は修理店で手軽に安く交換するかもしれませんが、その辺りの判断はユーザー個々がどう考えるか次第だと思います。

消費者の「修理する権利」の侵害に当たるのか

この問題については現在、欧米では消費者の「修理する権利」を法律で保護する事を求める運動が広がりつつあります。

確かに、自ら正当な対価を支払って購入したiPhoneのバッテリーが劣化した場合、どこで、どのように修理しようが所有者の勝手…という気がしますよね。

例えば、メーカーの継続的な保証制度(例えばメーカー保証による無償修理期間など)の保証期間内である場合には、メーカーが無償で交換・修理してくれる代わりに、メーカー純正品以外を使わないで欲しいと言うのは理解できます。

純正品が性能的に優れている等ではなく、その純正品を使う前提で開発・製造されている製品を、保証で無償修理する期間なら、非純正品に起因する故障や不具合については責任持てない…と言うメーカーの言い分も分からなくもありません。

しかし、Appleの場合には、Apple Care+による無償修理対象と言う事ではなく、メーカー保証の有無に関わらず、全てのiPhoneに非純正部品を使うな…と言っており、非純正バッテリーを使用した場合には、当初の対価で購入したはずのiPhoneに備わっている一部の機能を無効化(表示しない)するのは「越権」ではないかと感じます。

あくまで警告に留めて、それでも正規店以外でのバッテリー交換をした場合においても、最低限のバッテリー情報の提供は行うべきだと感じます。

これに対するAppleの言い分は、ユーザーが勝手に製品を弄るのは危険だという主張で反論し、法律が制定されないようロビー活動を繰り広げているようです。

確かに、ぶっちゃけで言ってしまえば、自分に責任のない原因(社外部品の使用)で生じた故障や不具合を無償で修理したくない…というメーカーの気持ちも分からないではありません。

しかし、なかなか難しい問題ですが、筆者としては、正規店以外でもバッテリー交換の是非ではなく、正規店以外でバッテリー交換を行った場合、iPhoneの価格に含まれる一部の機能を制限する事は、同じ金額で購入したユーザーが、バッテリー交換をどこで行うかによって差別されている事にならないのか…という点が気になります。

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