iPhoneにせよ、iPadにせよ、充電は速い越した事はありません。
「朝起きたらうっかり充電を忘れていて、出かけるまで30分しかない」
そんなシチュエーションだけでなく、自宅内でも使用する機会の多いiPhoneは、充電コードに繋がっている時間は短ければ短いほど充電機がない場所でも自由に使用できることになるため、やはり充電はサクっと終えてくれた方が良いのは自明の理です。
前回の記事(※)で急速充電について少し勉強した訳ですが、急速充電の事を知れば、当然、自分でもつかってみたくなります…ってことで、早速、急速充電機を購入しました。
※30分で50%、iPhoneを急速充電する方法とは
例えば、急速充電のためのACアダプターの電力が5Wや10W、18W等の種類があるのをご存知でしょうか。
この5W・10W・18W等のアダプターのワット数(電力)の数値が、急速充電に大きな影響があるので、ここでおさらいしておきましょう。
Apple純正のACアダプター(Appleでは電源アダプターといいます)は、電圧5Vに固定で、電流の大きさで、iPhoneに付属している5W(1A)アダプター、iPadに付属している12W(2.4A)があります。
これらのACアダプターのコネクタは、端末側はもちろんLightningですが、アダプター側はUSB-Aです。
iPhoneも、iPhone 8以降で18Wまでの急速充電に対応したため、従来の5W・12Wを超えるACアダプターと、USB-C+Lightningケーブルで急速充電が可能になりました。
Apple純正にも、18W・30W・61WのACアダプターが追加されており、USB-C+Lightningケーブルと組み合わせる事により、iPhone 8/8Plus・iPhone X・iPhone XS/XS MAX/XR・iPhone 11/11 Pro/1 Pro MAXで急速充電が可能です。
こちらは、Appleサポートに記載された充電とACアダプターに関するものです。
冒頭、Apple製品に付属している電源アダプター(ACアダプター)を使って、他のApple機器が充電できるとあります。
より大きな電力を供給できるアダプターを使用する事で、iPhoneに標準で付属する5Wのアダプターよりも早く充電する事がかのうであるとし、さらに、29W・30W・61W・87WのUSB-Cポートを持つACアダプターと、USB-C-Lightningケーブルを接続する事で、急速充電可能であると明記されています。
Appleが急速充電や、付属のアダプターが全ての端末の充電に使用できる事を明記している事は非常に重要です。
ASUS Zenfone 6
Google Pixel 4
Androidは急速充電に関しては少し先んじていて、先日テストした、「Zenfone 6(ASUS)」(※)も、「Pixel 4(Google)」(※)の2機種は、いずれもUSB-Cポートを備え、急速充電に対応していました。
iPhoneも、2020年のモデルからUSB-Cポートとなり、急速充電に対応したケーブルも付属すると噂されていますが、未だ不確定です。
筆者も急いで充電しなければならない状況は少なくないので、急速充電環境を整えたいと思ったのですが、やはり…というか、Apple純正の製品は割高です。
もちろん、Apple製品で使用する以上、純正品なら間違いないという点は大きなメリットですが、サーボパーティ製でも充分な信頼性を持つ製品もありますので、多少は割安に購入することができます。
Apple StoreにもAnker(アンカー)製の製品がラインナップしていますので、とりあえずAnker制から探す事にしました。
また、iPhoneだけを充電するなら18Wあればいい訳ですが、iPadを持っているので、30Wのアダプターを購入する事にしました。
ちなみに、30Wのアダプターで、18WのiPhoneを充電しても、18Wでしか充電できないので充電時間が短縮される事はありませんが、故障する事もないので、iPadと兼用と言う事で30W以上という事で探し始め、最終候補として残ったのが以下の3製品でした。
価格 | 出力 | Power IQ | Quick Charge | Power Delivery | |
---|---|---|---|---|---|
PowerPort III mini | 2,999円 | 30W | 〇 3.0 | 〇 | 〇 |
PowerPort Atom PD 1 | 3,499円 | 30W | × | × | 〇 |
PowerPort Speed 1 PD 30 | 2,000円 | 30W | × | × | 〇 |
いずれも30Wの出力をもつAnker製のACアダプターです。
違いは、「Power IQ」「Quick Charge」「Power Delivery」への対応です。
① Power IQとは
AnkerのWEBによると「Anker独自技術のPower IQテクノロジーによって、各USBポートは接続された機器を自動的に検知し、その機器に適した最大のスピードで急速充電を行うことが可能です」とあります。
「3.0」は、2019年になって搭載機器がリリースされた最新バージョンです。
② Quick Chargeとは
Appleとのモデムの供給問題や世界中での訴訟合戦で一躍有名となった米クアルコム社が開発した急速充電規格です。
ちなみに、Googleは現時点での世界標準となっている「USB PD」の互換性を損なうとして、Quick Charge規格を排除する意向のようです。
③ Power Deliveryとは?
正しくは「USB Power Delivery」と言い、最大100Wまで電力を送れるUSBを使った電源供給規格で、「USB PD」や「PD」と略されることがあります。
この3つの技術が搭載されていようが、いまいが、基本はどれだけの電力を供給できるか(W数)がものをいう訳ですが、まあ、ミーハー的ですが、全部入りの「PowerPort III mini」をチョイスしました(笑)。
Amazonのユーザー評価では、☆5つが74%、☆4つが12%、合計86%で、多くのユーザーが高評価をしていますが、☆1つが4%、☆2つが4%、合計8%がNGの評価をしています。
☆1つ評価は2件で、1件は価格が高いというもので、製品の性能や信頼性の問題ではないので除外、残る1件は、ずっと通電していると熱くなり、充電できなくなるというものです。
☆2つは2件で、1件は充電が速くないというもので、もう1件は「PD」非対応機器の充電の相性についてでした。
充電が速くない、熱くなる等は若干気になりますが、同様の評価は多くないので、この製品で多発している固有のトラブルや問題ということではなく、個体の問題なのかもしれないと考えました。
多くは、小ささ、価格、充電について充分満足している評価だったので、この製品の購入に決めました。
「PowerPort III mini」です。
たまたまBlack Fridayの期間だったため、2,999円が割引適用されて1,800円程で購入出来てラッキーでした。
ケーブルの方は「Anker PowerLine II USB-C & ライトニング ケーブル」で、Apple MFi認証取得で、USB Power Delivery対応です。価格は1,599円でした。
ACアダプターとケーブル、しめて2,900円程で、Apple 純正よりもかなり割安に急速充電環境を整えられました。
ACアダプターは、USB-Cの1ポートのみです。
ケーブルは、片側がUSB-Cで、反対側がLightningです
通電中は本体上部の「青〇」がブルーに光るのも、純正品にはない仕様です。
実際に充電してみましたが、低評価にあったような、充電の遅さや熱くなるような事はなく、現在のところ正常に動作しているようです。
本当に30分で50%の充電が可能なのか、実際に充電して試してみました。
残量が減ったiPhoneに充電を開始し、タイマーで30分間を計測し、30分後のバッテリー残量を確認します。
最初の実験機はiPhone 11で、まだ購入してから2か月ほどですのでバッテリー容量は100%を維持しています。
充電開始時点の時刻は12:19、バッテリー残量は29%でした。
前述の「Anker PowerPort III mini」に、「Anker PowerLine II USB-C & ライトニング ケーブル」を接続して充電を開始、タイマーが30分を知らせるまでそのまま放置しました。
タイマーが30分を知らせたので、その時点の時刻とバッテリー残量を確認します。
時刻は12:49でちょうど30分後、バッテリー残量は74%でした。
開始時が29%でしたので、半分の50%が充電されると79%になるはずですが、74%と少し足りない感じで、45%が充電された事になります。
例えば、充電を忘れた朝に家を出るまでの時間で充電したとしても、74%の残量では少々心もとないので、さらにそのまま+10分間充電を続けてみると、トータル40分の充電でデータ残量が82%になりました。
80%を超えているのであれば、何とか実用にはなりそうです。
さらにそのまま充電を続けましたが、80%を超えると「トリクル充電」(※)になるため、5分間の充電で3%しか残量は増えませんでしたので、急速充電は80%までで終えた方が効率的と言えそうです。
同じくiPhone 11のバッテリー残量を30%にしてから、iPadに付属している12Wの充電アダプターを使用して充電してみました。
iPhoneに付属している5Wのアダプターでは充電が遅いのは分かり切っていますので、12Wの方で比べてみる事にしました。
30分間充電した時点のバッテリー残量は54%となり、30分間で24%しか充電できなかった事がわかります。
Appleのテスト程の速さは実証できませんでしたが、急速ではない充電よりはかなり速く充電できる事がわかりました。
さらに10分間、充電してみましたが、残量は62%までしか回復できませんでした。
急速充電では、30分間で45%の残量が回復しましたので、12Wの通常充電の1.88倍の充電量と言う事になります。
2倍までは行きませんでしたが、充分に速い充電と言えます。
別のiPhoneでもテストしてみました。
使用した端末は、購入から1年3か月目となったiPhone XSで、バッテリー容量は95%に低下していますが、ピークパフォーマンスは維持しています。
iPhone 11と同様のテスト方法で、バッテリー残量30%の状態から急速充電し、30分後のバッテリー残量を確認しました。
30分後のバッテリー残量は68%で、38%しか充電できませんでした。 残量68%で充電を切り上げて出かけるのは少々不安です。
さらに10分間の急速充電延長で、76%まで残量が増えましたが、充電量は46%に過ぎません。
残量0%になったバッテリーに充電するのと、30%からの充電では状況が違うのでAppleが言う「30分で50%」は再現する事はできませんでした。
しかし、同じ30%残量のiPhone 11を、iPad用の12WのACアダプター+USB-A-Lightningケーブルで充電した際の30分後のバッテリー残量は45%でしたので、急速充電が行われている事は確かです。
今回は、自腹で30Wの急速充電アダプターと、USB-C-Lightningケーブルを購入、実際に、手持ちのiPhoneに充電してみました。
残念ながら、Appleの言う「30分で50%」の充電は再現できませんでしたが、従来の5W、12W充電アダプターよりもかなり高速で充電される事は充分にわかりました。
就寝前をはじめ、必要な時に忘れずに充電できる方には不要かもしれませんが、忘れっぽい方は、充電を忘れて目覚めた朝の保険として持っていてもよいのかもしれません。
出かける前の30~40分で50%近い充電ができるのは、やはり心強いと思います。
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